これは数年前に本当にあった話です。その為、此の話を執筆するにあたって皆さまにお願いしたい事があります。くれぐれも此の詳細について調べたり詮索をしないで頂きたいと思います。
又、個人の特定を避ける為に話にはフェイクを入れている事を了承願います。
数年前に北海道で真夜中に大きな地震がありました。大変大きな揺れで、震度4以上はあったと思います。
翌日、僕が職場に出社すると社内は大騒ぎでした。何でも付き合いのある工場で男性社員が亡くなってしまったと云うのです。
其処は大きな工場なので24時間体制で従業員が常駐しています。真夜中の地震とは云え地震の影響で壊れた機械はないかを確認しなければなりません、当日工場内に居た従業員達は各エリア毎に分担して巡回をしたそうです。
そして事故は起きてしまいました。一人の男性従業員が何時まで経っても戻って来なかったんです。深夜に従業員総出で行方不明になった従業員を捜索したそうですが、結局見つける事が出来ませんでした。
そして・・・
行方不明になった男性は朝になってから発見されました。工場の中にある巨大な水槽の中で溺れて水死体となって浮かんでいたのです。
夜の足元が見えづらい中での巡回だったので、恐らく足を滑らせてしまい、そのまま水槽の中へ落ちてしまったのではないかと云う話でした。
さて・・・
そんな事故の話を聞かされた後に僕の職場の同僚がこんな事を言ったのです。「実は亡くなった人は知り合いで、つい先日も仲間内で懇親会をやったばかりなんですよ、そう云えば打ち上げ時の集合写真も撮ったんですよね」
どんな人だったのか気になった事も有り、僕はつい「その写真ないの?」と聞きました。同僚は「デジカメの中にデータあるから出してみます」とデジカメをPCに繋いで写真データを出してくれました。
!!あれっ?
後輩は首を傾げながら1枚の写真を何度も見直していました。
「どうした?」僕も気になり聞いてみます。
「いやぁ・・その知り合いの人だけ顔がはっきりと写ってないんですよ・・」
!私は見た瞬間に息を飲みました。
そうなんです。他の皆がにこやかに写っている集合社員の中で、事故に遭ってしまった男性の顔だけが歪んでいてハッキリと写っていなかったのでした。
全体的にぼやけているのならば写真撮りに失敗したんだろうと思えるのですが、一人の顔だけが本当に歪んでいて写っていなかったのです。
僕はこの写真を見た時に不謹慎な話かもしれませんが、彼はこの頃には既に死神に獲り憑かれていたのではないかと思いました。